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 レコーディングマジック 

音質で同じ曲が生まれ変わる不思議を実証!
COLUMN

「音量競争」のコラムでも書いたが、レコーディングでの音質の調整(ミックス)で、曲が別物に生まれ変わる。

今回、それを実際にmp3サウンドファイルを用いて証明してみようと思う。

 ちょっとバンドのレコーディングの用事で実家のマイスタジオに来たので、そのついでにこのコーナーの為に遊びでテキトーに「幻想即興曲メタル」を録音してみた(笑)。

 まぁマイスタジオっつっても自分の部屋にただ機材が狭苦しく詰め込まれてるだけの、実家に帰ったところで寝る場所もまともにないような空間であるが(笑)

まずは、これを…


 鋼鉄幻想即興曲
Drums、Piano & Keyboards、Bass :TAKAYA
MUSIC:Chopin 「幻想即興曲(Op.66)」
Arrange:TAKAYA
Recording:2006.8/27(日)
File : mp3、Size: 642 KB、Time:1分21秒

とりあえず使用機材は次の通り。

ドラムベース MTR ピアノ

 まず、今回はかなりテキトーな思いつきで、バンドでの本番レコーディングを終えてヘロヘロの時に突然軽くレコーディングしたので(笑)、完成度はさほど高くはありませんが(笑)、 今回はとりあえず完成のイメージをだいたい頭でイメージし、テキトーにドラムをまず録音(メトロノームなども何も使用せず、とにかく全てのパートが本当に即興テキトー(笑))。

ドラムを録音し終わったら次にベースを録音。ベースはピービーの5弦ベース(アクティブ)、録音は普通にライン録り。別に私はベーシストではないので下手クソなのでピック弾きのため、低音が不足し勝ちなのでベース本体の低域をブースト、他のツマミは真ん中、トーンは7:3ぐらいの位置。

ベース録音の次にピアノ。

ピアノはYAMAHAのデジタルピアノ「P-200」、ピアノとストリングスの音色を同時に鳴るように設定して録音。それにしても指がちゃんと回っていない・・・・(笑)ウォーミングアップもなしに幻想即興曲はキツイ(笑)。しかも今回はベースとかもあってバンドサウンドなのでピアノパートは右手だけなのにこのヘタクソさですからね・・・・(笑)あぁヤダヤダまったく(汗)一定の速度を保ったままでのこのテの無窮動なピアノ曲は死ねる(笑)。

と、とりあえず、この曲はドラム・ベース・ピアノの3パートから成り立っているシンプルなものですが、これが、録音を終えた後の音質バランス調整で面白いぐらいに姿を変えるのです。

ちなみに上の録音はメタル風な音作りで、一部分にドラムのスネアやバスドラなどにゲートリバーブやホールリバーブをかけて迫力を出しています。
私は特にバスドラムの音作りにはこだわりがあり、曲調にもよるが、このようなメタルなイメージを持つ曲では、低域がズッシリときつつもバスドラのアタック音のペシッという音がハッキリと強調されて独特になるような音作りをします。
バスドラのイコライジングはこんな感じです。
EQ
ミックスでのイコライジングがこれで、録音をする時にもイコライザーを調整するので、上のバランスでは低域が明らかに足りないように思うが、録音する時点で音のキャラクターを決めておくために低域はかなり持ち上げた状態で録音します。

、 さて、それでは細かい話はほどほどにして(笑)、録音した内容はそのままに、音質バランスの調整でどれほどまでに曲が別物のように生まれ変わるかを聴いていただきましょう!


 鋼鉄幻想即興曲
-60年代一発録音風?-

Drums、Piano & Keyboards、Bass :TAKAYA
MUSIC:Chopin 「幻想即興曲(Op.66)」
Arrange:TAKAYA

さて、どうでしょう?
 まるで最初のとは違う曲・違う時代・違う空間であるかのようです。
録音された内容は同じです。音質を変えただけです。

 わざと古臭い空気を出すため、軽く音を篭らせ気味にしました。やり方としては、高域をまとめてカットするとか、とにかく「キラキラした音にしない」ようにすると古臭さや一昔前での一発録音のような雰囲気が出ます。
 その雰囲気のほとんどを支配するのがやはりドラムの音です。ドラムをマイクわずか数本で一発録音したかのような雰囲気を出すために左右の広がりをわざと狭めています(mp3ではちょっとその具合が解りにくいかも知れませんが…)。
 あと、わずかにドラムにディストーションをかけて荒々しい生演奏をそのまま録音したかのような雰囲気を出しています。音がクリア過ぎないようにすることでライブ感が逆にでます。特にドラムの音で「バランスよくまとめられた音」になっている音源とスタジオとかで普通にウォークマンとかで録音した時の生々しすぎる音とを比べて、最も違うのはバスドラの音です。そこらのCDで聴けるバスドラムの音は本当に自分が実際にドラムセットに座って叩いた時の音とかなり差があります。そこらへんを意識したバスドラの音作りも、60年代っぽく聴こえるポイントです。

さらに、まだまだレコーディングミックスバランスで曲が変化します。


 鋼鉄幻想即興曲
-80年代のCDの音-

Drums、Piano & Keyboards、Bass :TAKAYA
MUSIC:Chopin 「幻想即興曲(Op.66)」
Arrange:TAKAYA

どうでしょう?

まず、全体的に「キラキラした/ライトな」感じにまとめてみました。
この音質傾向はまさに80年代のCDの音だと思います。

スネアドラムの音なんかはこの時代のポップとかは、あまり生生しさがないんですよね。打ち込みかな?生かな?って聴いてて迷うぐらいな(笑)。とにかくライトなんです。
スネアのイコライジングはこんな感じです。
EQ

それが90年代に入ってくると低音を強調する傾向が強まってきて、今に至るという感じですかね。
今ではまぁジャンルによってはかなりCDの音にもアーティストによって個性が出てきた感じですが、とにかく80年代のCDって「あ、この音80年代」ってすぐ解るもんね(笑)。

上の音源で「80代年代の音」をかなり再現したつもりではありますが、5弦ベースなんか使って低音ガンガンのメタルな曲をアレンジしている時点で80年代ではないですけどね(笑)。
このドラムの音作りでもっとポップな曲をやれば完全に80年代ですよ〜。


と、まぁこんな感じで、同じ演奏内容をレコーディングしても、ミックスで曲はどうにでも変化するのです。それは、変化「できる」ともいえるし、変化「してしまう」ともいえます。
演奏のニュアンスまでもを変化させてしまうこのミックスという作業工程がいかに重要であるか・そして面白いものであるかをなんとなくでも解ってもらえたのなら嬉しいですねぇ。

ちなみに一番上のメタル風のものは、随所にエフェクトを加えたりしていますが、それを何もなくした状態のものも一応アップしておきましょう。ちょっとした味付けも曲の印象を大きく変えるという事が解ってもらえるはずです。

 鋼鉄幻想即興曲
(オートミックスによるエフェクト付加無しの、録音した直後のヴァージョン)
※イコライジングはバランスをとってあります

と、いうわけで、ミックスの深さと楽しさを少しでも感じていただけたのなら嬉しいです。

こういう事を気にしながらCDを聴くと、ますます音楽が楽しくなりますし、そして、とてつもなく深いものであることも解って途方に暮れてしまいます(笑)。

気が向いたらみなさんも途方に暮れてみてください(笑笑)。

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