アルバム解説
※この文章はCDジャケット内にも記載しているものです
両極端である______私の音楽は。
そして落ち着きがない。
それは長所でもあり短所でもあるが、このアルバム「TAKAYA SELECTION」は、極力、「落ち着きのある」CDにしたかった。
芸術というものに正しいも間違いも、優も劣もない。が、モノが溢れ「人々の価値観そのものの喪失」の現代、それだけに多くの人々に己の芸術価値を伝える・理解される事は難しく、或いは、そのつもりが最初からないというのも事実ではあるが、このアルバムは、両極端が故に落ち着きのないTAKAYAという複雑怪奇なアーティストへの興味の入り口となれば幸いかと思いつつ企画制作したものである。
それでいて且(か)つ、「聴きやすいんだけど普通すぎてどこか面白くない」とか、過去の音源を集めただけの誰も待ってもないようなBEST版というものにはしたくなかった。
というよりも、私は今、まだ無名である。
無名アーティストが自分で自分のベスト版を出すなどという一見バカげたような事をする例は稀かも知れないが、これは、自分への入り口を広く一般に少しでも多く見つけてもらいたいという意味を込めた「ベスト」というよりも、「セレクション」である。しかも、「ある程度の普遍性」というものを考えた上での「セレクション」である。
私が自分のBESTを自分で作るならば、メタル寄りで世界観の濃「過ぎる」ような激しい楽曲ばかりを並べたことだろう。しかしそれでは「入り口」は狭くなる。「入り口」の見つけられにくい洞窟は、その内部がどれほど神秘的でも、その洞窟を探検しようという人間自体が永遠に現れないともいえる。「私という洞窟をみつけてもらい、洞窟を探索してもらいやすくしたアルバム」というのが一番のこのアルバムの存在理由であり、或いは本来の意図のそれをも越えるものとなれば、申し分ない。
さて、このアルバムは、
MysteriousRiver-Amazon[Entrance]-から幕を開ける。
これは、現在売られているCDラインナップにはないもっと古い頃の楽曲で、元々10分を越える長めの楽曲であった一部を、このアルバムのオープニング曲用として改めてショートバージョンをピアノとストリングスとシンセなどの比較的シンプルなアンサンブル構成でレコーディングしたものである。
この曲を作った当時、某テレビ番組でアマゾン川の事が放送されていて、強く感動したのが楽曲制作の動機であった。
今回このような形でセレクションアルバムのオープニングとして使用する事で、前述したような「ただ過去の音源をかき集めただけのセレクションにはしたくない」という要素を、早速オープニングンから体現し、盛り込む事に成功したといえよう。
そしてその幕開けから、古く、そして新しい物語は始まるのである。
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